新しい数学の世界

多くのお金を与えればマイナス、でもそれでずっと多くの利益が出ればプラスに?

あなたに「寛大なる目的」があれば、そうなります。

 デリック・キニー・ハリス

 

数年前地元メーカーのオーナー、デイブがオフィスにやって来ました。私は財務顧問であり、デイブは長年のクライアントです。二人が会えばいつも、彼のポジティブで熱意ある姿勢を見るのが楽しみでした。しかしその午後は何か違うことが素振りで分かりました。

 

「何が起こっているか話してください」と言うと、「ビジネスは大きくなっている。しかしもはやそこに興味を持てないし、動機づけを失っている。実際それほど満足感を感じられないよ」

 

話し合っているうちに、ある考えが思い浮かびました。デイブにこう尋ねたのです。「支援したいと興味を感じる活動あるいは組織がありませんか」その質問はデイブの不意を突いたようで深く椅子に座り、しばらくじっと考え込みました。

 

2、3年前家族と共に海外へ行った際、子供を教育するための校舎も資力もない小さな村を訪れたことがあると話し出しました。彼らはこう呟いたのです。「子供達のために何かできれば、すばらしいことなのだけど」

 

しかしそれから結局その考えをしまい込み、家に戻って生活に戻っただけでした。その経緯を聞いてから、デイブにもう一度尋ねました。「もしあなたが取り組んだらどうなるでしょう。次の12か月に渡りビジネスを増やす目標を設定してください。そうすれば、その一部が学校建設につなげられます」

 

彼の目は大きく見開きました。そして、スタート地点に立ったのです。3か月後デイブは私のオフィスへ戻ってきました。彼はビジネスに対し多くの熱意を持っていました。自らの人生のために。「デリック、君はこれを信じないだろうけど、売上は既に20パーセント増加し、しかもほぼ完全にあの学校に資金提供できたよ」

 

ビジネスオーナーとして、彼は再び活気づきました。目的に利益を繋げる方法を見出したのです。より多くのお金を与えることで、デイブは実際に更に多くの利益を生み出していました。これは、多くの利益を生み出すための計り知れない秘訣です。

 

周りに与えること。それを「寛大なる目的」と呼びます。それがクライアントの人生が変わった動機です。そして、あなたにもあてはまります。さて幾つか質問をしましょう。

 

世の中のどういった不公平が、あなたを真夜中に目覚めさせますか。何が実際にあなたを悩まし、こう言わせるのでしょうか。「私はそのことについて何かしたい。」正しくありたいと願う社会に、現実にはどんな誤りを見出しますか。

 

それはあなたのコミュニティーに、それともどこか別の世界にありますか。深く気にかける原因は何でしょう。その原因、活動、目的にお金や利益をつなげて下さい。それはあらゆるものを変えます。

 

寛大なる目的。あなたの寛大なる目的は何ですか。それは性売買廃止への支援、それともホームレスへの支援ですか。あるいはもっと個人的なものかもしれません。子供の大学授業料に、または孫がずっと受けたいと望んでいたピアノ・レッスンの授業料を払うといったようなものですか。

 

それはあなたに関わるものではなくとも、他の誰かもしくは何かに関わるものをずっと良いものにできて、世界にインパクトを残せると信じられるものです。結局、個人的に示す意思はある日消滅します。

 

私たちが共に分かち合う意思は、常に高い評価を得、長く残ります。ほとんどの人々の最優先事項は、「多くの利益を出したい」です。しかし、それを「多くのお金を与える為に多くの利益を出さなければならない」としたらどうなるでしょう。

 

このことはあなたが稼ぐお金に、そしてあなたの人生に目的を与えます。例えあなたの仕事が何であろうと、あなたの人生がどんなステージにあろうとも。さて、世界あるいは地域に持続的なインパクトを与えるには多くの資金が必要と思うはずです。それはちょっとした真実などというレベルの話ではありません。でも小さくスタートすることです。

 

まず一度に1人を助けてください。そうする時、その人と取り巻く世界を変えていると理解するでしょう。今抱いている与えることに対する姿勢にかかわらず、お金を稼ぐことを、その目的をもう一度考えてみてください。

 

若いけど何もできないと思った時を超え、今まで熱烈に燃えた対象を考えてください。今あなたには機会があります。小さいか大きいかにかかわらず、始めましょう。これが楽しいことを始まるきっかけとなります。

 

自著の為インタビューした多くの起業家が、利益を出し手放すことにいち早く習慣づけることがどれくらい重要かを強調しました。でもその振る舞いが当然の結果として次の行為を強力にする理由ともなります。過度な稼ぎ方、貯蓄ぐせ、付随する出し惜しみ。

 

クライアントを訪れるとき、自らの資金に対する経済的インパクトについて話し合います。しかし私は全体としての経済と、個人の経済として言及することの違いを指摘します。

 

例えば主な経済指標を知る事は重要である一方、本当に重要なことは、家族を養う能力、個人的な財政上の目標のため蓄える能力なのです。さて、こういった全ての経済的本質は個人にとって何を意味するのでしょう。

 

世界に地域に持続的インパクトを与えるには多額のお金を求めることと考えるのは容易なことです。しかし、それは経済全般を考えることになります。私はそれをシンプルにすることを提案しています。

 

個人的なお金の流れを求められる立場で、できることを行ってください。次のことを覚えておいてください。小さくスタートして、一度につき1人に影響を与える。そのようなことから、世界は変わり始めます。

 

あなたが稼ぎつつ奮い立つような目的を手にし始める時、モチベーションが生まれます。心の中にともした火は大きく輝き、人生全ての分野における成功に結びつくのです。それは銀行口座を開くためにするべき全てにやる気を起こさせるでしょう。仕事で成功する、昇給する、あるいは自分の事業を大きく育てるといったように。

 

家族の将来、まわりの世界の将来を完全に革新する力があると自覚するはずです。選択できる2つの道があります。

 

1: 意味なく利益を出し続ける。でも幸せでないままで自己実現もできない。

2: 価値ある利益を多く生み出す。ただしその利益に意味を加える。

 

最初の道を選べば、あなたと家族に役立つお金や財産を残そうとするでしょう。それではあなたを最も悩ます世の中の誤りを正す手だてを逃すことになります。「今から仕事に行くよ。与える為にもっと多くの利益を出そう。」と言うだけでは十分ではありません。

 

実際のインパクトを与える時、沸き起こる強力な感情がそこに加えられなければ何も意味がないのです。第2の道を選べば、あなたは目的を持って稼ぎ始める準備ができています。結局のところお金を持っていなければ、何も与えられません。

 

利益を得ること、与えることに関するあなたの態度を考え直してほしいのです。そして寛大なる目的を見出してほしいのです。一度にひとりで構いません。あなたのお金は世界にインパクトを与えることができます。

 

テキサス州アーリントンRCメンバー、デリック・キニーは『Good Money Revolution;更に良いことを行うためにもっとお金を生み出す方法』の著者です。このエッセイはそこから抜粋されています。

 

翻訳 津坂守英@名古屋城北